履修の記録③2年前期

こんにちは、のんろそです。先日大学の卒業式がありましたが、院でも同じ研究室なのであんまり卒業した感が無いです。

大学4年間でとった講義を振り返るやつの3つ目、2年前期(2Sセメスター)の振り返りです。この学期は1~3年の内だと最も履修の自由度が高く、かつ時間割を疎にすることが可能な学期となっています(多分)。

1年後期の振り返りはこれ↓

hpng19.hatenablog.com 

物性化学(S1ターム)

 このセメスターのみ、ツイッターで講義の感想をスレッドにするやつをやっている

 

化学の必修講義。週2コマ2か月。 

分子軌道法とか点群とか永年方程式とかそういうのが出てくる(何も覚えていない)。何も覚えていないが、配布資料がしっかりしていて今も手元にあるので真面目に講義内容のキーワードを羅列してみる。

ルイス構造、VSEPRモデル、π結合、分子軌道、色々な対称性・点群、ヒュッケル分子軌道法、芳香族性、付加環化反応、金属錯体、ルイス酸・塩基、磁性、光吸収、バンド構造、結晶格子、双極子モーメント・各種相互作用、実在気体の状態方程式、高分子

マジで1つも覚えてないけど、どうやって単位とったんだ???

高校化学と有機反応化学と構造化学の経験をフル動員させてやっと半分理解してたかどうかという水準だったと思う。教員の喋り方がめちゃめちゃオタクだったし顔がsyamuさんにちょっと似ていたのでめちゃめちゃ面白かった(なので話自体は結構ちゃんと聞いてたはず)。配布資料が充実していたので教科書は買わずに済んだ。充実していなかったら確実に買ってたと思う。

 講義内容が難しすぎて意識が上に飛んでしまった時のツイート(錯体の色とかその辺の話だったはず)

 いつもの

 ラテン語に侵食されてる

 

生命科学(S1ターム)

 

理一では1単位しかない生命科学の必修講義。週1コマ2か月。

「どうせお前ら生物(科目名)嫌いなんやろ? せや、数物のオタクに興味持たせるために数式交えて紹介したろ!」

そうして生まれたのが東京大学教養学部(前期課程)理科一類の必修講義「生命科学」(1単位)である。

生物っぽいのは細胞小器官の紹介くらいで、後はあとはひたすら微分方程式だとか反応速度論だとか、RNAの羅列があるので翻訳してくださいだとかそんなんばっかりだった。

music.amazon.co.jp

キラキラだとか夢だとか

 

講義というより、教科書の演習問題を解説して終わりでテストもそこからn問出題みたいな感じだったのでかなりつまらなかった。あと、演習問題に不備がある感じがして、ちょいちょい炎上していた(今は版が変わっているので直っているかも)。

1単位だと本当に知らん分野の問題演習して終わりというだけになってしまうので、もうちょいがっつり普通の生命科学やらせても良い気がするんだけどなあ。

ただ、微分方程式を解かずに定性的に考察する方法とかは力学系の理論で、負のフィードバックみたいなワードは制御理論で後々役に立つ伏線として機能したのでそんなに悪いものでもなかったのかもしれない。

 講義自体とは全然関係ないけど『がっこうぐらし!』10巻に感染症数理モデルみたいなのがあって興奮した記憶がある。タイムリーになっちゃったけど…


基礎実験III(化学)(S1ターム)

多少失敗しても大丈夫

 

必修の学生実験。週2コマ(連続)、2か月。

お気づきとは思うが、必修科目は全てS1タームで完結する。そのため、どんなにギチギチに履修していたとしても、6、7月には週5コマ減ることになる。2Sだけはめちゃめちゃスカスカな時間割を過ごすという人が多い。

I、II、IIIの必修基礎実験で、自分は「物理→物理→化学」という方式を選択したためIIIは化学実験だった。なんとこの2Sの必修は物性科学と生命科学と化学実験というなんともケミストリーなセメスターであった。1年次やこれ以降のカリキュラムと比較して、やはり2Sセメスターには独特な色がある気がする。

この化学実験のためだけに白衣と保護メガネを用意する必要があったが、1A化学実験の民に譲ってもらうことができたためタダで済んだ。ラッキーである。

噂通り負担は物理実験よりゆるく、実験をペアで行って試問を受けて帰り、考察をシートに記入して提出するという流れだった。全体的な負担は低いが物理実験と比べるとテクニック的に難しいと感じた。錯体に関する実験で、水浴に試験管を落として水が入って全部色が同じになったけど合格がもらえた回もあった。物質に物質を加えて色が変わるのを見たり、特定の物質を得るためにいろいろしたりするのはThe 実験という感じがして良かった(語彙力0)。ガラス細工を体験することもできる(パートナーにやってもらったので自分はやっていない)。

学生実験のためのフロアにドラフトチャンバーが72台並んだ光景はとてもインパクトのあるもので、大学の設備の充実を感じた。あとロータリーエバポレータがかっこいい。

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いらすとやにもある

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ドラフトチャンバーがめちゃめちゃ並んでる

 

 

古典語初級I(ラテン語

ここから7科目は総合科目。やはり2年前期だけは、必修ギチギチの1年次に比べると†教養学部†を感じることのできる履修を組むことができると思う。

単位は来た 

 

Aセメ始まりのラテン語初級の続き。講義の特徴はだいたい前回書いたと思う。

履修生はさらに減り、自分は全く予習が間に合わず、本当に全く予習が出来なかったときは解説を聞いても意味がないので「ラテ語切ってラテ語やる」という異様な状況を生んだ。初級の後編ということで、文法要素も動詞の活用が本格的に登場し、その多さに笑うしかなかった。受身とか完了とか未来とかを助動詞+動詞に分離してくれ。イタリア語も結構動詞の活用エグかったけど、英語が少ないだけだわ。

Aセメでは苦労しつつも90点を超える高得点を頂いたが、今学期はマジで試験が全然できず60点台だった。「活用表を覚えるだけで単位が来る、教科書試験範囲の単語ちゃんと覚えてたら満点」。これだけ聞くと簡単そう(表がデカいんだよなあ)。

 理屈があるので本来はもっと小さくできるけど、1単語をひたすら活用させる表を作りたくなる

 講義はペースメーカーですとは言われたものの、本末転倒感は否めない

 ちなみに、ラテン語初級後編のシラバスラテン語で書いてある


言語構造論

この講義取るまで非文にアスタリスクつけるやつツイッターの文化か何かだと思ってた

 

言語学その1、恐らく構造言語学の初歩の講義(構造って付いてるので)

何をやったかあまり覚えていないが、ノートが手元に残っているので幾つかメモを紹介する。

  • 吉野山」と「吉野さん」のアクセント
  • 「一日おき」と「24時間おき」
  • 子どもの発言に見られる過剰修正 ~「投げた」んじゃない「投がった」んだよ!~
  • *波が浸食をゆっくりした
  • 音素と異音 ~日本語の「ん」は3種類?~
  • 「さ」と「し」の子音が違うのは有名だが、「な」と「に」の子音も実は違う
  • マガーク効果(Wikipediaリンク
  • 連濁は「規則」か「記憶」か? 脳波測定を用いた実験で検証する
  • 存在しない動詞を活用させてみよう
  • fly(飛ぶ)-flew(飛んだ)、fly(フライを打ち上げる)-flied(フライを打ち上げた)
  • ブローカ失語ウェルニッケ失語
  • 自動詞と他動詞
  • 走りだせ!、飲み残せ!、*使いだせ!、*書きかけろ!
  • 数詞の遊離 ~本を3冊借りた~
  • カニ缶(かにのかんづめ)、ネコ缶(ねこのためのかんづめ)
  • A君のお見舞いに行ってあげて(受益者:A君)くれる(受益者:私)?
  • 自然言語としての手話
  • ピジンクレオール

いや、めちゃめちゃおもしろそうやんけ。

ほとんどの講義のノートは捨てずに収納しているのだが、残していると何年後かにこうして思い出に浸れて良いかも。

 文構造を気にしすぎるといつもこの文が思い出される

 この後出てきたDeepLが結構賢くて驚いた記憶がある

 連濁のレポート課題を課されると連濁に敏感になる

 ツイートしたくなる面白さがあった(ツイ廃ムーブ)

 日本語の否定疑問文の答え方とかいうのヤバすぎる

 

言語文化論

 教員がとにかく強い

 

言語学その2。色々な言語が紹介されるが語学の講義ではない。

これも資料が残っているのでキーワードを羅列してみる。

  • SOV・SVO語順は多いが、OVS・OSVは非常に少ない
  • 日本語方言のアクセント
  • 埼玉特殊アクセント(そんなのあるんだ)、伊吹島のアクセント(平安時代の日本語に最も近いらしい)(Wikipediaリンク
  • 2拍名詞アクセントの5分類
  • 「有標」と「無標」
  • サピア・ウォーフの仮説
  • Grimmの法則、Vernerの法則、High German consonant shift(第二次子音推移)
  • アイルランド語、古典アルメニア語、サンスクリット
  • プラウ
  • 祖語の再建
  • 外来語の表記にみてとれる各言語の音素体系の特徴

やはりこうしてみると面白そうだし、実際面白かった記憶がある(ここにはあんまり書いてないけど、教員のフィールドワークの体験談が特に)。また、レポート課題の中に古文の指示語に関して考察が必要なものがあり、「大学生になったら古文なんて使わん」を直接否定することができたので良かった(?)

この講義ではパワーワードが飛び交うことも多く、よくツイートしていた(ツイ廃)。

 ペルシャ語…?

 ゆゆゆ脳

 こういう講義ロシア語選択者多そう(偏見)

 ないです

 飴もそうだが、本当に人柄の良い教員だった

 やばい

 そもそもロシア語を知らんのよ

 久しぶりに古文を読んで登場人物にツッコミを入れる人(いろいろな人)

 

専門に進んでからじゃまずこういった講義は聞けないだろうし、話を聞いただけではあるけれどもこうして言語学に触れることができたのは良い経験だったと思う。TLは語学・言語学の人も多いし(様々な事情で)。

 

人間行動基礎論(理科生)

 進学選択の点数追い出しのために理系っぽい文系科目を選んでとった(教養学部生の自覚が全く無い)

 

「記憶」をテーマにした心理学の入門講義。総合D系列なので文系科目扱いだが理系と親和性が高い(ほんまか?)ため結構人気がある。

言語学と同じくらい興味だけでとったけど意外と今の分野の役に立っているので人生何が起こるかわからん。

突然だが、千円札の絵柄を千円札を見ずに表裏描けるだろうか? 千円札は何回も見たことがあるし、大富豪でもない限り些末な存在でもない。なのに意外とどこに何の絵があるかわからないという人が多いのではないだろうか。じゃあ記憶って具体的にどういうものなんでしょうね~………………という講義の導入の部分しか記憶に無い。

他には、「心理学(ここでは特に認知科学)の実験方法はよく考えられてるなあ」と感心した記憶がある。

2回しかない小テストをともに欠席し、中間レポートは字数不足、期末は散々であったため、前期課程時代で最低である51可を叩き出した科目であった(もっとちゃんと聞けばよかった)。

 

振動・波動論

ここから3つは理系の総合科目。

 

振動現象や波動を扱う物理の講義。

後に専門課程で何回も復習することになる(機械工学をやる上でハチャメチャに重要なので)が、この時点で基礎の部分を固めることができて良かったと思う。

キーワード

ばねの振動、減衰振動、強制振動、パラメトリック振動、Q値、連成振動、弦の振動、フーリエ級数展開フーリエ変換、1次元の波動、波動方程式特性インピーダンス、分散・波束・群速度、波の反射と透過

今でも8割がた理解しているはず(希望)

ばねと重りが2~3個繋がった系の運動の解析が最終的に行列の固有値問題に帰着されるやつとか、弦・弾性体棒・音波・電磁波・同軸ケーブルとかを全然違うものなのに最終的に同じ式を使って評価できるやつとかが面白かった記憶がある。あとフーリエ変換については名前だけ知っている状態だったがここで初めて習った。

教員が長いゴム紐を使って前で波に関する実演をし始めたことがあり、とても熱意を感じた。あとは月1なのに教室いっぱいですごいと思った。

高校時代謎の経験則だと思っていた音速と気温の関係式も結構理論的に導ける 

 ちょうど理解のフロンティアという感じでとても良かった

 重り3つならこうだよねという図

フーリエ級数展開、高校の三角関数積分のめちゃめちゃ良い復習になる 

 

ベクトル解析

難解な講義と連発されるパワーワード 

 

ベクトル解析の講義。

既に電磁気学で初歩は習っていて、専門で使う人は後でどうせ習うことになるが、やはり大事な科目であるため取っておくのがよいだろうと思って取った。

が、講義内容はかなり難解で、まずいきなりポインティングベクトルの話から始まり、最終的に双対ベクトル空間がどうだとか微分形式で外微分がどうだとか言い出してマジで終わった。(というか微分形式の話は序盤からしてた)(幸いなことに試験には普通の計算問題しか出なかった)

内容としては

ベクトル空間、grad・div・rotと各種公式、微分形式、線積分スカラー場、ベクトル場、1-form)、面積分スカラー場、ベクトル場、2-form)、グリーンの定理、ガウスの発散定理、ストークスの定理

みたいな感じ(半分くらいしか分からない気がする)。

あと、何かにつけてパワーワードを連発する教員だった。

 とにかくわからなかった

 こわい

 受けと攻めがあるらしい

 

統計データ解析II

レポート2回(中間・期末)で点数めっちゃ来た、神の講義 

 

R言語と統計解析の授業。統計データ解析Iの続きのようだったが、IIから履修しても特に問題は無かった。

アルゴリズム入門でもRubyを扱ったが、本格的にプログラミング言語を使って行列やリストを扱うのはこれが初めてだった。内容はR言語の説明、重回帰分析、散布図行列、主成分分析とバイプロットなど(もっとあったはず)。

 Rはエラーを日本語で返してくれます

 重回帰分析

 

全学自由研究ゼミナール Medical Biology入門

医学系の先生がた非医学系の民にもグロ注意と言わずすごい画像見せてきがち 

 

これは必修科目とも総合科目とも違う主題科目というよくわからない立ち位置の科目で、合否のみで評価されるゆるゆる科目である。人によって内容は全く異なり、自分は「Medical Biology入門」という題の講義をとった。

Medical Biology入門は、医学部の教員が様々な医学研究の紹介をオムニバス形式で行い、受講者は毎回お話を聞いてアンケートと感想を書くだけという、とても親切(かつ興味深い)講義だった。

一応ノートが残っているので講義のサブタイトルをいくつか紹介する。

  • Osteoimmunology 骨免疫学
  • 形成外科 ~麻痺患者の「笑い」の再建へ~
  • 公衆衛生
  • 法医学
  • がんと微小環境

セメスターだから13回あるはずなのにこれしかメモが残ってねえ…

ノックアウトマウスの登場回数がエグかったのと、形成外科と法医学の回で画像が結構やばくてびっくりしたことだけ覚えている。

 顔の手術中の映像、結構刺激が強い

 げ〇げ〇みたいな

 驚くべきことにここで色んな話を聞くまで自分の中で医学科と基礎医学研究があんまり結びついていなかった

 

以上、S1ターム週13コマ→S2ターム週8コマ、計20単位ぶんの記録でした。

 

この学期は他の時期と比べると化学と文系科目が幅を利かせるとても不思議な学期でしたが、最も教養課程らしい学期であったとも言えますね。

あと全休があって嬉しかった。

 文系総合科目はレポート評価のものが多く、図書館に籠ってひたすら本読んで文字打ってた時期もあった

 実学以外不要マンはきっと泡を吹いて倒れてしまうでしょう

 自分が教養課程で履修した総合科目の一覧、国際なんちゃらとか政治とか経済とかは全く取らなかった

 

空いてるコマがあるんだからとっとけばよかったかなあと卒業したいま思っている科目は、経済学の入門講義、イタリア語の演習、解析力学量子力学の入門講義、常微分方程式、図形科学B(図学と手書き製図)あたりですかね(理想論だけど)。

 

おわりです(単位数減ってるのに過去一で長くなった)